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長野家庭裁判所諏訪支部 昭和39年(少ハ)1号 決定

少年 A・Y子(昭二〇・一一・三生)

主文

少年をこの決定の日から満二三歳に達するまでの期間中等少年院に戻して収容する。

理由

少年は昭和三七年六月一二日当裁判所において虞犯保護事件により中等少年院送致の決定を受け、愛光女子学園に収容され昭和三八年八月一三日同学園を仮退院し長野保護観察所の保護観察に付されていたものであるが、仮退院の際犯罪者予防更生法第三四条第二項所定の遵守事項並びに同法第三一条第三項に基づいて関東地方更生保護委員会が定めた別紙遵守事項の遵守を誓約したにもかかわらず、

一、昭和三八年八月下旬頃担当保護司の斡旋で丸○印刷株式会社に就職したが、勤労意欲を欠き僅か数日にて同会社を退社し、

二、同年九月○日ころからかねて素行不良なS、T、K某、Y子らと、保護者、保護司に無断で数日間温泉旅館に投宿して遊興に耽り、

三、その後Sらを介してMと知り合うや同人が犯罪歴を有している者であることを承知しながら同人と情交関係を結び、ついで将来の見通しもないまま同棲生活に入り、

四、同年一〇月初旬保護観察を行う者に無断で家出し、以来昭和三九年三月頃まで岡谷市○○町所在のバー「○○」において女給として働き、

五、昭和三九年三月○○日頃無断で前記Mと上京して同人と同棲し、同年六月下旬一旦父に連れ戻されたが七月○○日ころ再びMに従つて無断上京してカフエーに女給として勤める等乱脈な生活態度に終始し、

もつて前記遵守事項に違反したもので、このままに放置すれば依然同様な生活をくり返し将来非行に陥る虞れが濃厚である。よつて今一度中等少年院に戻して収容し、矯正教育を受けさせた上将来更に保護観察を続けてその更生を図ることが必要であると認められるから、犯罪者予防更生法第四三条第一項に則り主文のとおり決定する。

(裁判官 馬場励)

別紙

一、犯罪者予防更生法第三四条第二項所定の遵守事項

(1) 一定の住居に居住し、正業に従事すること。

(2) 善行を保持すること。

(3) 犯罪性ある者又は素行不良の者と交際しないこと。

(4) 住居を転じ、又は長期の旅行をするときは、あらかじめ保護観察を行う者の許可を求めること。

二、同法第三一条第三項に基づき関東地方更生保護委員会が定めた遵守事項

(1) 昭和三八年八月一三日までに長野県岡谷市○○○×××番地(父)A・Sの許に帰住すること。

(2) 昭和三八年八月一四日までに長野保護観察所に出頭し、同所長の保護観察下に入ること。

(3) 将来の方針を立て、きまつた仕事を辛抱強く続けること。

(4) 家出、無断外泊をしないこと。

(5) 不良交友を断ち、特に不純な異性関係をつつしむこと。

(6) 何事も保護者や保護司の指示に従うこと。

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